3月の材料 トピックス

米国「国債発行残高中の外国人投資家の占める割合」データに見る中国の脅威

 

米国債と米国経済の首根っこをつかむ中国

2019年1月23日 日本時間1:54、ブルームバーグがダボス会議での中国要人(中国証券監督管理委員会副主席)の発言を伝えています。

中国が米国債の保有を減らす可能性は低い。同国に余剰資金が大量にあるという事実は、世界最大の債券市場に資金を置いておく必要があることを意味する。
出典:Bloomberg

翻って1年前の2018年1月10日、中国は今回とは真逆のメッセージを世界に発信し、米中貿易不均衡のつばぜり合いに新たな局面を生み出しました。

米国債投資に中国当局者が消極姿勢、買い削減や停止を勧告-関係者

出典:Bloomberg

これを追い風に米国債の利回りは上昇しました。

2007年12月から2018年1月22日現在までの同指標の推移は以下のとおり。

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データ出典:米国債10年物利回り Bloomberg 作図:トレマト

[1]2018年5月、そして[2]2018年9月から11月には3%を大きく超えています。

この背景には米国の保護主義的な経済政策やFRBの利上げ姿勢などがありますが、米中の貿易戦争が大きく横たわっているのは間違いないでしょう。

その戦いの武器として力を発揮してきたのが中国が保有する莫大な額の米国債です。

中国が手放す姿勢を見せれば米国債は暴落の危機に瀕します。長期金利は上昇し、米経済に大きな痛手を与えることができるでしょう。

その意味で今回のダボス会議での発言は、中国がいったん軟化の姿勢を見せた形です。2018年12月、中国は米車の輸入関税を引き下げましたが、それに続く譲歩と見てとれます。

2019年1月17日には米財務長官が政権内で中国への高率関税を引き下げる発言も報じられています。

対中穏健派で知られるムニューシン氏が内部会議で、関税の一部か全部を解除することを提案した。中国が一段と譲歩する動機になるとの読みがあるという。

出典:日本経済新聞 2019/1/18 5:57

米中双方から歩み寄りの姿勢が見えるのは、2019年3月1日に期限を迎える中国の知的財産侵害の是正合意が控えているからでしょう。

トランプ大統領は合意できなければ中国製品の関税の大幅な引き上げを行うとしています。これは誰にもメリットのない愚策です。製造業の景気は冷え込み、世界経済にも大きな痛手となるでしょう。

“暴走”を食い止める賢明な努力が水面下で実施されているのが伺えます。

 

国債発行残高中の外国人投資家の占める割合

では中国は米国に対して陰でどれほどの脅威を与えているのでしょう。

米国はオフィシャルのデータとして「国債発行残高中の外国人投資家の占める割合」を公表しています。

お役立ちリンク

米国「国債発行残高中の外国人投資家の占める割合」 
※最上段「Major Foreign Holders of U.S. Treasury Securities (MFH table)」

これによると中国(本土[別に香港あり])と日本が3位以下に圧倒的な差を付け保有残高のトップを争っています。ちなみに数年前はオイルマネーが上位に食い込んでいたのですが、現在はその面影はありません。

また中国(本土)と日本の間でも、この2年間に劇的な変化が見られます。

下図をご覧ください。縦軸の単位は10億ドルです。

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データ出典:An official website of the United States Government 作図:トレマト

[1] 中国(本土)は2017年3月から8月に急速に保有額を伸ばし、6月には日本からトップの座を奪っています。

[2] 注目すべきは2018年4月の中国(本土)の保有残高の減少と9月10月の大幅な落ち込みです。前章で述べたようにほぼこれを受けるタイミングで米国債10年物の利回りが上昇しています。

中国は米国の首元にナイフを当て、ときに深く食い込ませながらその痛みを思い知らせているようです。

[3] 日本は口先では固い同盟国を謳っていますが、米国債の保有残高は中国(本土)以上のペースで減少しています。米中貿易戦争のとばっちりを受けまいとするクレバーな施策と評価できるでしょう。

関税面で優遇措置を行ってくれれば米国債の購入を増やしてもよい、と交渉を持ちかけることもできるでしょう。

いずれにしろ米国債に関してはいまだに保有残高でナンバーワンの地位にある中国(本土)が大きな影響力を持っているのは間違いありません。

 

まとめ

ここがポイント

トランプ大統領が対中貿易赤字に過度な是正策を強行すると、中国は米国債の売り(あるいは売り姿勢)によって市場を混乱させ、長期金利上昇圧力を加える。それが信用不安(リスクオフ)を引き起こし、円高を引き起こす。

直近のポイントは米中合意の当面の期限とされる2019年3月1日でしょう。いまのところ融和が模索されているようですが、ふたを開けてみるまではわかりません。急激な円高への注意が必要です。

 

兵器化する中国の「米国債保有残高調整」

「アングル:危惧される米債保有国の「報復売り」、輸入制限で」出典:ロイター

中国元の国際化に関する記事

「焦点:人民元国際化に復活の兆し、外貨準備組み入れも追い風」出典:ロイター

 

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