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米国「国債発行残高中の外国人投資家の占める割合」データに見る中国の深謀遠慮

更新日:

 

中国は米国債投資から本当に手を引くのか

2018年1月10日 日本時間20:42、ブルームバーグが米中貿易不均衡のつばぜり合いにおける新たな展開を報じています。

米国債投資に中国当局者が消極姿勢、買い削減や停止を勧告-関係者

出典:Bloomberg

これは対中米国赤字を盾に是正を求める米国側に対する中国の交渉カードの一つと見られます。

これを受け

長期金利の指標である米10年物国債利回りが一時2.59%と10カ月ぶりの高水準

出典:Bloomberg

となったそうです。

その後1月12日の終値は2.5462(*1)と戻していますが、まだ高い水準を維持しています。

*1 出典:Bloomberg

週の始まりに113円台をつけていたドル円はこれ受け111円台前半から110円台へと下落しています。

米国債の利回りが上昇したのですから、本来は円安へと振れるはずですが、市場はネガティブサプライズと捉え一気にリスクオフへと傾いてしまいました。

この状況にある指標を照らし合わせてみると興味深いことが浮かび上がります。

 

国債発行残高中の外国人投資家の占める割合

米国はオフィシャルのデータとして「国債発行残高中の外国人投資家の占める割合」を公表しています。

お役立ちリンク

米国「国債発行残高中の外国人投資家の占める割合」 
※最上段「Major Foreign Holders of U.S. Treasury Securities (MFH table)」

これによると中国(本土[別に香港あり])と日本が3位以下に圧倒的な差を付け保有残高のトップを争っています。ちなみに数年前はオイルマネーが上位に食い込んでいたのですが、現在はその面影はありません。

また中国(本土)と日本の間でも、この1年間に劇的な変化が見られます。

下図をご覧ください。

usasec180111

出典:An official website of the United States Government
作図:トレマト

日本が同盟国として安定的な残高を維持しているのに対し、中国(本土)は2017年3月から8月に急速に保有額を伸ばし、6月にはトップの座を逆転しています。

 

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交渉カードを簡単に手放すわけがない

「トレマト」はこれを中国のトランプ政権への疑心暗鬼の現れと考えます。

2017年1月20日トランプ大統領が正式に誕生するまでの2ヵ月間、中国(本土)は米国債保有残高をほぼ変えていません。しかしトランプ政権が対中貿易赤字に矛先を向け始めたことで、米国債の購入が急ピッチで進みます。それは9月30日ティラーソン米国務長官が中国を訪問し、11月の中国での米中首脳会談を持ちかけることで融和策を示すまで続いているように思えます。恐らく9月初旬にはそうして米国の意向が中国側に伝わっていたのでしょう。

いずれにしろ中国はこの数ヵ月間で米国債の運命支配者という強力な交渉カードを手にいれたことになります。

中国は「買い停止」を行ったとしても、この武器を簡単に手放すことはしないでしょう。なぜなら今回のように政府の要人でもない「関係者」が、オフィシャルな決定事項でもない「ほのめかし」をするだけで米国債市場は混乱の様相に陥ってくれるからです。

 

決済通貨「元」の夢

中国はこの戦術をしばらく継続していくでしょう。

そしてあくまで中国のペースで貿易を拡大し決済通貨としての「元」の地位を高めていくものと思われます。

ロイターは2018年1月10日、中国がフランスから航空機を184機購入する見込みであると報じています。

エアバス「A320」、中国からの受注契約間もなく締結=仏大統領

出典:ロイター

A320の価格は1機

9800万ドル

出典:Aviation information site

合計180億3200万ドル。1ドル110円として日本円でおよそ2兆円規模の取引です。

中国側がこれに対し「元」での支払いを要求したらどうでしょう。フランスは何らかの方法で受け取った「元」をモノか、別の通貨に変えなくてはなりません。こうした大型商談を繰り広げることで世界に「元」が大量にばらまかれたら、やがて「ドル」の地位を「元」が奪うことも可能になってくるでしょう。

そうした壮大な戦略の一端に中国による米国債の大量保有があると考えられます。

 

つまり、

ここがポイント

トランプ大統領が対中貿易赤字に言及する、あるいは攻撃的な姿勢を示すと、中国は米国債市場を混乱させ、信用不安=ドル安(円高)を引き起こす。

こうした状況はしばらく続くものと思われます。

 

兵器化する中国の「米国債保有残高調整」

「アングル:危惧される米債保有国の「報復売り」、輸入制限で」出典:ロイター

中国元の国際化に関する記事

「焦点:人民元国際化に復活の兆し、外貨準備組み入れも追い風」出典:ロイター

 

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