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レイバーデー(9月第1月曜)は円高の特異日なのか?ドル円と米国債の動きを探る!

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米国では一般に7月4日の独立記念日から9月第1月曜日のレイバーデーまでが夏季休暇のシーズンとされています。

夏季休暇中は外国為替市場への参加者が少なく、恣意的な動きに左右されやすいのが特徴です。中でも最終日となるレイバーデーはかつて「円高の特異日」と呼ばれていました。

2009年9月7日8時45分のロイターの記事によると

JPモルガン・チェース銀行の調べによると、レーバーデーは円が上昇する季節性がある。2000年以降、東京からロンドン市場にかけて、ドル/円やユーロ/円が下落しなかったのは07年の一度のみで、平均下落率はドル/円が0.6%

出典:ロイター

背景には「8月円高」のアノマリーによる警戒心があるようです。

外国為替市場は8月に円高になる――。「8月円高」は市場の経験則の一つで、過去20年間のうち14回が円高・ドル安に振れた。
出典:日本経済新聞電子版 2018年7月30日

現在もレイバーデーは「円高の特異日」なのでしょうか。2012年から2017年までの結果を検証してみました。

日米の時差を考慮

ドル円のデータは日本時間午前10時に発表される三菱UFJ銀行の「仲値」を採用しています。

レイバーデーの時期、日本と米国東部の時間差は13時間です。米国のレイバーデーは日本時間月曜日午後1時に始まり、翌火曜日午後1時に終わります。そのためこの記事では日本時間火曜日午前10時(米国東部時間午後9時)の「仲値」をレイバーデーのデータとします。

またレイバーデーの直前営業日は金曜日となるため日米の時間差は影響されません。

 

2012年のレイバーデー

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2012年のレイバーデーは9月3日(日本時間9月4日)。日本時間当日のドル円は78.38円です。

[1]ドル円は

8月20日79.59円を直近ピークに下落トレンド。レイバーデーの直前金曜日8月31日の78.6円と比較すると22銭(0.3%)下落しています。

「下げ」の特異日に合致しました。

なお米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は78.23円と翌火曜日よりさらに15銭の円高を記録しています。これは「下げ」の特異日を先取った動きに見えます。

[2]米国債10年物利回りは

8月16日1.83をピークに下落トレンド。レイバーデー(日本時間)には1.57と14%下落しています。

同期間の日本国債10年物利回りは0.86から0.79へと下落。日米の金利差は0.97から0.78まで縮まっています。レイバーデー前の円高の要因はどうやらこうしたことが影響していそうです。

[3]レイバーデー直後

レイバーデーを過ぎ市場参加者が戻ってくると、行き過ぎたトレンドを取り戻すかのようにいったん米国債は売り(利回り上昇)、ドルは買い(円売り)へと反転します。

[4]9月末日に向け

ただし戻り期間は短く、米国債10年物利回りもドル円も9月末にかけ下落トレンドを見せています。

[5]独立記念日から9月末までの約3ヵ月間

ドル円はレイバーデー前に2回のピークをつけるも、ほぼ下落トレンドで終わっています。

 

2013年のレイバーデー

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2013年のレイバーデーは9月2日(日本時間9月3日)。日本時間当日のドル円は99.68円です。

[1]ドル円は

8月12日96.2円を直近ボトムに上昇トレンド。2度円高に振れますが底堅く9月11日100.32円まで上昇します。レイバーデー(日本時間)当日は直前金曜日8月30日の98.36円と比較すると1円32銭(1.3%)上昇しています。

「下げ」の特異日にはなりませんでした。

なお米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は98.56円と翌火曜日とほぼ同水準の円安となっています。市場の“意思”はすでに前日に表れていました。

[2]米国債10年物利回りは

独立記念日からレイバーデー後の9月5日2.99まで緩やかに上昇。レイバーデー(日本時間)直前も短期の上昇トレンドを見せています。日本国債10年物利回りが緩やかに下落しているのとは対照的な動きです。

日米の金利差は広がっており、これが円安の要因と見られます。

[3]レイバーデー直後

2012年同様、レイバーデー後にドル円は小幅に上昇。

[4]9月末日に向け

しかし上昇トレンドは数日で失速し、ドル円と米国債はほぼ足並みをそろえ下降します。

[5]独立記念日から9月末までの約3ヵ月間

ドル円は2012年同様概ね下落トレンドで終わっています。

 

2014年のレイバーデー

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2014年のレイバーデーは9月1日(日本時間9月2日)。日本時間当日のドル円は104.4円です。

[1]ドル円は

7月18日101.26円をボトムに大きな下げ局面を見せぬまま9月30日109.45円まで上昇トレンド。レイバーデーの直前金曜日8月29日の103.74円と比較するとこちらも66銭(0.6%)上昇しています。

「下げ」の特異日にはなりませんでした。

なお米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は104.13円と翌火曜日とほぼ同水準の円安となっています。

2012年から3年連続で市場の“意思”がすでに前日に表れています。

[2]米国債10年物利回りは

7月4日2.64をピークに下落トレンド。レイバーデー(日本時間)前の8月15日には2.33と12%下落しています。

同期間の日本国債10年物利回りも0.57から0.50への下落です。

国債利回りの低下はリスク回避の兆候であり、通常であれば円高へと触れそうですが、前述のとおり円安基調で推移しています。これは当時、世界の主要各国で金融緩和が進み“金あまり”期待からリスク選好の機運が広がったことによるものと思われます。

2014年8月15日の主要各国の長期金利は以下のとおりです。

日本の長期金利が1年4ヶ月ぶりの低金利、0.495%となった。
ドイツの長期金利が1989年以来の低金利、0.95%となった。
アメリカの長期金利が2013年6月以来の低金利、2.30%となった。
スペインの長期金利が過去最低の低金利、2.383%となった。
イタリアの長期金利が1993年以来の低金利、2.577%となった。

出典:ウィキペディア(いずれも同日底値)

[3]レイバーデー直後

米国債10年物利回りはその後、9月17日2.62まで12%上昇しピークアウト。それにつられドル円も上昇します。

[4]9月末日に向け

2012年、2013年はレイバーデー後の上昇は短期ですぐに下降トレンドに入りました。しかし2015年は国債市場に若干の調整が入ったのに対し、外国為替市場は強気を維持しています。市場全体が強いリスク選好の機運に包まれていたことがわかります。

[5]独立記念日から9月末までの約3ヵ月間

ドル円はほぼ一本調子で上昇しています。

 

2015年のレイバーデー

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2015年のレイバーデーは9月7日(日本時間9月8日)。日本時間当日のドル円は119.42円です。

[1]ドル円は

レイバーデーの直前金曜日9月4日の119.93円と比較すると51銭(0.4%)下落しています。

「下げ」の特異日に合致しました。

2015年7月から9月のドル円の最大のトピックは2015年8月11日に中国人民銀行が人民元の20年ぶりの大幅切り下げを実施したこと。いわゆる「チャイナショック」により為替相場が混乱し、世界同時株安へとつながりました。

この影響を受け8月24日121.72円から翌25日118.9円へと急落(前日比2円82銭2.3%円高)しています。「下げ」の特異日はその“余震”のような高いボラティリティの中示現しました。

なお米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は119.07円と翌火曜日よりさらに円高に振れています。

2012年から4年連続で市場の“意思”がすでに前日に表れています。

[2]米国債10年物利回りは

7月13日2.45をピークに下落トレンド。レイバーデー(日本時間)前の8月24日には2.00と18%まで下落しています。

そして翌25日にドル円の急落。その前のドル円は上昇トレンドでした。米国債とは真逆の動きです。もしかしたら米国債人気(利回り低下)はドル円上昇への危険信号だったのかもしれません。

[3]レイバーデー直後

ドル円はレイバーデー後、2012年、2013年同様小幅な上昇を見せますが勢いは続きません。

[4]9月末日に向け

米国債が9月15日の2.29でピークアウトするのに足並みを揃え、ドル円も9月末に向け下降トレンドとなります。

[5]独立記念日から9月末までの約3ヵ月間

ドル円は「チャイナショック」の影響で下落しています

 

2016年のレイバーデー

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2016年のレイバーデーは9月5日(日本時間9月6日)。日本時間当日のドル円は103.6円です。

[1]ドル円は

FOMC声明から米国の早期利上げ観測が後退し、7月21日107.29円をピークに8月18日99.78円までおよそ1ヵ月間で7.51円7%急落。その後ほぼ半値戻しの水準に至ったところでレイバーデーを迎えました。レイバーデーの直前金曜日9月2日の103.31円と比較すると29銭(0.3%)上昇しています。

「下げ」の特異日にはなりませんでした。

なお米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は103.93円と翌火曜日よりさらに円安に振れています。

2012年から5年連続で市場の“意思”がすでに前日に表れています。

[2]米国債10年物利回りは

7月6日の1.37からゆるやかに上昇トレンド。レイバーデー(日本時間)には1.53と12%上昇しています。同期間の日本国債10年物利回りはマイナス0.27からマイナス0.02へと上昇。日米の金利差は1.64から1.55へと若干縮小しています。

「米国の早期利上げ観測後退」といっても日米の長期金利は確実に上昇(リスク選好)していました。

レイバーデー当日は利上げ観測が復活しており、このことが「円高」不安を和らげていたのかもしれません。

[3]レイバーデー直後

ドル円は下降・上昇と神経質な動きを見せます。

[4]9月末日に向け

米国債が下降トレンドに入ると、ドル円も下降します。これまで2012年から5回中4回、ほぼ同様の動きとなっています。

[5]独立記念日から9月末までの約3ヵ月間

ドル円は激しく上下しましたが、結果として下降トレンドで終了しました。これまで2012年から5回中4回下降しています

 

2017年のレイバーデー

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2017年のレイバーデーは9月4日(日本時間9月5日)。日本時間当日のドル円は109.66円です。

[1]ドル円は

7月11日114.22円をピークに9月8日108.40円まで下落トレンド。レイバーデーはその終盤に訪れます。レイバーデーの直前金曜日9月1日の110.16円と比較すると50銭(0.5%)下落しています。

「下げ」の特異日に合致しました。

なお米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は109.83円と翌火曜日とほぼ等しい円高水準。

2012年から2017年までの6年間すべて市場の“意思”がすでに前日に表れています。

[2]米国債10年物利回りは

7月7日2.38からゆるやかに下降トレンド。レイバーデー(日本時間)には2.07と13%下降しています。同期間の日本国債10年物利回りはマイナス0.09から0.01へと下降。日米の金利差は2.29から2.06へと若干縮小しています。

この間ドル円も下降しているので市場はほぼ順当な動きを見せています。

[3]レイバーデー直後

ドル円と米国債は足並みを揃え下降します。

[4]9月末日に向け

しかし米国債が上昇トレンドに転じると、ドル円も上昇。これまでとは正反対の動きです。

[5]独立記念日から9月末までの約3ヵ月間

ドル円は下降しましたが、レイバーデー後にV字回復し、結局ほぼ同水準で終わりました。市場参加者が戻り、行き過ぎたドル売りが修正されたようです。

 

まとめ

2012年から2017年までの傾向は…

ここがポイント

「下げ」の特異日に合致したのは6回中3回で確率は50%。アノマリーは再現できませんでした。

しかし、今回採用したドル円データは米国東部時間レイバーデー当日午後9時(日本時間翌日午前10時)のもの。現地での日中の取引は反映されていません。

そのため一概にアノマリーを否定するのは危険です。

ただ今回の検証で興味深い傾向が見えてきました。これまでも赤字で強調してきましたが、

ここがポイント

米国ではまだ日曜日午後9時である日本時間月曜日午前10時のドル円「仲値」は100%の確率で翌日の「仲値」の傾向を捉えていました。つまり直前金曜日に比べ月曜日に下げた(円高)場合は、火曜日も金曜日に比べ円高水準にあります。逆もまた再現されます。

ここがポイント

レイバーデー後から9月末日に向けドル円は6回中4回67%の確率で下落トレンドを見せました。

ここがポイント

7月4日の独立記念日から9月末までの約3ヵ月間、ドル円は6回中4回67%の確率で下落トレンドを見せました。

これらは「8月円高」が9月末まで尾を引くことを示唆しているのではないでしょうか。

 

2016年のレイバーデーは?

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さて、2018年のレイバーデーはどのような動きとなるでしょうか。8月21日までのデータを見ると、7月18日に113.01円まで上昇し8月21日に109.90まで下降しています。この間の値幅は3.11円です。さほど極端な上下ではないといえるでしょう。

日米の国債利回りもほぼフラットで国債市場は硬直した状態です。

 

ポイントはFOMC議事録か

今後のドル円動向のポイントは日本時間8月23日午前3時に発表されるFOMC議事録の内容となるでしょう。

Bloombergは「来年の金利見通しという論議を呼ぶトピックを巡り米金融当局者の考えが浮き彫りに」(*1)なるのではないかと予測しています。

また「投資家はFOMCが年内に0.25ポイントの利上げをあと2回決めると予想していることが先物の動きに示されている。FOMCがこの軌道を進めば、政策金利は景気を刺激も抑制もしない「中立」水準に来年のうちに到達することになる」(*1)とも。

出典(*1):Bloomberg 2018年8月22日 9:52「パウエル議長はいつまで利上げ続けるか、ヒントはFOMC議事録に」

トランプ大統領は利上げに不服を漏らしているようですが、米国の経済活動が順調な限り、中立状態への政策金利引き上げはほぼ確実であり、その後の利上げも十分あり得ると認識しておくべきでしょう。

米国の「利上げ」は「ドル高円安」のリスク選好機運を生み出すはずです。

 

2018年8月23日追記

FOMC議事録から9月の利上げが濃厚であることが判明しました。

大半の会合参加者が、堅調な景気拡大を背景に「利上げが間もなく適切になる」と指摘し、9月25、26日のFOMCでの追加利上げ決定を示唆した。

出典:共同通信社

日本時間早朝のドル円はやや円安で反応。日本時間午前10時の三菱UFJ銀行「ドル円仲値」は110.78円。前日比58銭の円安です。

ただしFISCOの見立てでは

米9月利上げを織り込む相場展開となりそうだが、米国の政治不安や米中貿易摩擦に対する警戒感は消えていないことから、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。

出典:財経新聞/FISCO

まだしばらくは神経質な動きが続くようです。

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