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11月の株価に45日前ルールとファンド決算のお化粧買いはどう働くか?

11月は株式投資に二つのトピックがあることで知られています。

一つは45日前ルールです。これはファンド解約について顧客は45日前までに知らせる必要があるというもの。今年の投資損益を確定したい12月末日から逆算するとちょうど11月15日が通知の締め切り日となります。そのことから株価に変動が見られるという通説があります。

また一つはファンド決算が11月末に集中しており、運用成績をよく見せるためにお化粧買いが入りやすいというものです。これについてはそもそも「11月に集中」という根拠がないという説もあり、トピックとしての信憑性は弱いと思われます。

ただ、そうした“煙”が立つからには、“火”がくすぶっている可能性はゼロではないでしょう。

そこでここ10年間の11月の日経平均株価の推移を追ってみました。

11月に変動があるとしたらそれは利益確定か損切かを見極めるデータとして10月の推移も併せて追っています。

また45日前ルールおよびお化粧買いの判定はあくまで株価の動きを観察しての印象であり証拠があるわけではありません。

 

2008年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

[1]2008年10月はリーマンショックによる株価下落局面の真っ最中でした。10月28日に底値を打った後、上昇トレンド試しますが、[2]11月5日をピークに翌6日から早くも45日前ルールを見込んだ売りが始まります。14日を申込締切日と仮定すると6営業日前からすでに動き始めていたことになります。

[3]11月21日にボトムを記録するとその後はお化粧買いが発動されたのか、結局10月終値水準まで戻す展開となりました。

11月月間では10月終値比64.71円(約0.8%)の下落で引けました。

 

2009年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

[1]10月に順調に値を上げた株価は26日をピークに下降トレンドを描きます。

[2]実質これが45日前ルールを見込んだ利益確定の売りと思われます。11月13日を申込締切日と仮定するとじつに11営業日前に動き出したことになります。

その後いったん小康状態となりますが、[3]45日前ルール締め切りの3営業日前から再び下げ圧力が強まります。

結局11月最終日にお化粧買いは見られましたが大きく値を崩した形となりました。

11月月間では10月終値比689.19円(約7%)の下落で引けました。

 

2010年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

[1]10月にはじりじりと値を下げていた株価ですが、[2]FRB(連邦準備制度理事会)が、11月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)後、いわゆるQE2と呼ばれる大幅な量的緩和政策を発表し、反転上昇。

[3]その勢いは45日前ルールの逆風もものともせず11月22日取引時間中最高値10157.97円まで続きます。市場はこれに満足したのか11月最終日はわずかにお化粧買いの動きが見られる程度でした。

11月月間では10月終値比734.59円(約8%)の上昇で引けました。

 

2011年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

2011年後半はギリシャ危機をきっかけに欧州の信用不安が高まりました。ドル円が戦後最安値(円高)の75円32銭をつけたのはこの年の10月31日早朝のことでした。

[1]10月は順調に上昇した株価でしたが、[2]この円高騒動をきっかけに11月にはぐんぐん値を崩します。45日前ルールの10営業日前、10月31日にはすでに利益確定の売りが始まっていました。

[3]さすがに11月25日に底を打つと反転。4日間のお化粧買いで若干値を戻します。

11月月間では10月終値比553.78円(約6%)の下落で引けました。

 

2012年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

2012年11月は後に内閣府が「景気の谷」と位置付けた月です。

[1]10月に若干の上昇を見せた株価は、小康状態を保った後、[2]11月2日にピークをつけた後、下落トレンドへと変化します。45日前ルールの8営業日前からの動きでした。

ただし[3]その当日からあとは順調に上昇します。この年は11月末のお化粧買いはなかったと捉えてよいでしょう。

11月月間では10月終値比517.72円(約6%)の上昇で引けました。

なお11月の反転については

11月13日からの株価上昇は外国人筋の買い以外の何ものでもない。

出典:Electronic-Journal(原典:伊東光晴著『アベノミクス批判/4本の矢を折る』/岩波書店)

とElectronic-Journalが伊東光晴教授の説を紹介しています。

また

海外投資家は日本株を買い越し、日本の投資家は逆に売り越している──これは、リチャード・クー氏も同じことを指摘しています。彼らは、「ユーロは崩壊する」という前提で勝負に出ていたのですが、ドラギECB総裁の「必要なら何でもやる」のひと言によって、崩壊が回避される状況になってきたのです。
その結果、海外投資家が目をつけたのは日本なのです。

出典:Electronic-Journal

と総括しています。

45日前ルールのくびきから外れたファンド勢が自らの意思で買いに動いたというわけです。相場の潮目が変わった典型的な例と言えるでしょう。

 

2013年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

[1]10月は上下動を見せ結局ほぼ変わらぬ水準で引けた株価ですが、[2]11月に入り、やや弱気気配を見せたのも束の間、[3]11月7日にECB(欧州中央銀行)が政策金利を0.25%引き下げ過去最低の0.25%とすると、これを材料に強気相場へと変化します。

45日前ルール、お化粧買いのアノマリーは関係なく、市場は自信をもってリスクオンへ動きました。

11月月間では10月終値比1333.93円(約9%)の上昇で引けました。

 

2014年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

2014年は各国の金融緩和策によって、中国を代表する新興国の経済も安定し、景気回復の足取りがたしかなものとなった年でした。

[1]株価は10月に谷を見せますが、[2]10月31日の日銀の追加緩和策によって一段上の株価水準へとジャンプアップ。[3]45日前ルール、お化粧買いの影響はとくに見当たりません。

ちなみに11月4日に投開票が実施された前回の米国の中間選挙は、共和党が議会の上下両院で過半数の議席を獲得。オバマ政権には逆風となりましたが、日経平均株価には特段の影響は見られませんでした。

11月月間では10月終値比1046.09円(約6%)の上昇で引けました。

 

2015年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

2015年の10月11月の株価はほぼ一本調子で上昇しました。

[1]10月の上昇トレンドを受け継ぎ、[2]11月にはさらに上昇。45日前ルールの直前の若干の弱気気配を見せますが、それでも陽線で引けます。[3]お化粧買いの必要がないほど株価は安定していました。

11月月間では10月終値比664.37円(約3%)の上昇で引けました。

 

2016年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

[1]2016年の10月11月は、前年に比べ株価水準は落ちていますが、ほぼ同様に上昇トレンドにありました。

[2]ただ波乱要因となったのが米国の大統領選です。まさかのトランプ大統領誕生です。日経平均株価は2日間で大きく上下動しました。

[3]結局、トランプ共和党政権への期待が上回り、株価はもとの上昇トレンドを取り戻します。

45日前ルール、お化粧買いの影響はとくに見当たりません。

11月月間では10月終値比883.46円(約5%)の上昇で引けました。

 

2017年11月の株価

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出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト

[1]2017年10月の株価は一本調子で上昇しました。

[2]11月に入ってもそれは続きましたが、さすがに材料不足だったのか、11月9日にピークをつけたのちいったん下降します。おそらく45日前ルールの影響と思われ、4営業日前に動き出した形です。

[3]11月15日を通過すると株価は若干上昇しますが、お化粧買いとしては弱い動きです。

11月月間では10月終値比713.15円(約3%)の上昇で引けました。

 

10年間の傾向

45日前ルールについて

2008年:6営業日前から発動
2009年:11営業日前から発動
2011年:10営業日前から発動
2012年:8営業日前から発動(典型例)
2017年:4営業日前から発動

と50%の確率で値を崩す場面が見られました。

当然のことですが確かな材料が出たときは45日前ルールによるとみられる売り圧力は高まっていません。

 

お化粧買いについて

2008年:4営業日のお化粧買い
2009年:最終日のみお化粧買い
2010年:最終日のみお化粧買い
2011年:4営業日のお化粧買い
2017年:最終日のみお化粧買い

と50%の確率で上値をめざす場面が見られました。

株価が不安定な時期はお化粧買いが見られましたが、近年の上昇局面ではその必要がなかったようです。

 

11月の騰落率

11月月間の10月終値比の騰落は

2008年:64.71円(約0.8%)の下落
2009年:689.19円(約7%)の下落
2010年:734.59円(約8%)の上昇
2011年:553.78円(約6%)の下落
2012年:517.72円(約6%)の上昇
2013年:1333.93円(約9%)の上昇
2013年:1046.09円(約6%)の上昇
2015年:664.37円(約3%)の上昇
2016年:883.46円(約5%)の上昇
2017年:713.15円(約3%)の上昇

と7勝3敗で上昇の確率が高くなっています。ここ10年間では3%から9%の上昇率となっています。

 

45日前ルール、お化粧買いの影響はあるのか

これらのことから

[st-midasibox title=”ここがポイント” fontawesome=”fa-bullhorn” bordercolor=”#000000″ color=”#ffffff” bgcolor=”#faebd7″ borderwidth=”3″ borderradius=”0″ titleweight=”bold”]上昇の確信が持てないときは45日前ルールの影響が見られる
お化粧買いのように見られる動きはあるが大きな影響はない[/st-midasibox]

と言えます。

 

2018年はどうなるか?

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では2018年はどうなるでしょうか。

[1]10月の株価の動きを見ると、リーマンショックの最中にあった2008年と似ています。今回はやはり米中の貿易戦争の影響でしょう。

米議会の中間選挙を前に、民主党優勢が伝えられ[2]とりあえず底を打った形に見えますが、まだわかりません。

選挙前の議席数は両院とも共和党が過半を占めています。

日本時間11月7日午前10時の段階では上院で共和党が優勢、注目ポイントの下院で民主党が優勢となっています。このままいけばトランプ大統領は2年後の自らの選挙を見据え外交(貿易・移民)でより強硬な姿勢を取るでしょう。投資市場にとってそれはネガティブな傾向です。

選挙結果を受けた当日のNYダウは500ドル以上の大幅高で引けました。不透明感がとりあえず払しょくされたことによるものと思われます。ただし楽観してよいものでしょうか。

投資家の気分によって左右されやすいと思われる45日前ルールは2008年当時6営業日前から発動されていました。今回の選挙は見切り売りには絶好のタイミングでもあります。

さて、どうなりますか…

 

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