日経平均株価の推移を見ると東証再開以降2008年までの60年間の月間騰落率は9月が25勝35敗で12ヵ月中ワーストワンとされてきました。
原因は9月末の中間決算を控え、投資家が利益確定の売りを出すから、というもの。これについては四半期決算により売り圧力の分散化が進み、影響は軽減されているようです。
一方ハッピーマンデー制度により9月の連休が増加したほか、2009年や2015年は秋の大型5連休が実現するなど見切り売りの出やすい環境となったことから、騰落率が悪化するのではないかと見られていました。
現在でも9月は日本株下落の特異月なのでしょうか。最近10年間のデータをもとに傾向を検証します。
ここ10年間は5勝5敗の五分
出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト
2008年から2017年までの日経平均株価の月別騰落率をグラフにしてみました。
最も下落率の激しかったのは2008年10月のマイナス24.55%。9月15日にリーマンショックが発生し、世界同時株安となり金融危機が波及した月でした。
一方高騰率では2013年4月の14.22%が最高。日銀の黒田総裁がいわゆる「異次元緩和」を発表した月で、上昇傾向にあった株価に対し大型の金融緩和策がさらに火をつけたかたちとなりました。
グラフ中9月の騰落(橙色)を見ると目立った傾向はありません。そこで数字を確認するとはっきりしました。
出典:[日経平均株価]日経平均プロフィル アーカイブ 作図:トレマト
ここ10年間の9月の騰落は5勝5敗。まったくのイーブンという結果となりました。
2009年以降を東証再開以降のデータにプラスし、2017年までの69年間として再計算してみると、
[st-midasibox title=”ここがポイント” fontawesome=”fa-bullhorn” bordercolor=”#000000″ color=”#ffffff” bgcolor=”#faebd7″ borderwidth=”3″ borderradius=”0″ titleweight=”bold”]2008年 25勝35敗 負け率58.33%
2017年 30勝39敗 負け率56.52%[/st-midasibox]
と確実に「下げの特異月」傾向が緩和されています。
やはり最近は「9月は日本株下落の特異月」のアノマリーは成立しにくいようです。
下げの特異月は1月と8月の傾向
前述の騰落表からはむしろほかの月が「特異月」として浮かび上がってきました。
[st-midasibox title=”ここがポイント” fontawesome=”fa-bullhorn” bordercolor=”#000000″ color=”#ffffff” bgcolor=”#faebd7″ borderwidth=”3″ borderradius=”0″ titleweight=”bold”]1月と8月の負け率は70%
3月4月と10月11月の勝率は70%[/st-midasibox]
8月は「円高の特異月」されているためその影響があるのかもしれません。
外国為替市場は8月に円高になる――。「8月円高」は市場の経験則の一つで、過去20年間のうち14回が円高・ドル安に振れた。
出典:日本経済新聞電子版 2018年7月30日
また勝ち率の顕著な3月は年度末決算期待が、10月11月は「株は秋に買え」のアノマリーがそれぞれ働いているのかもしれません。
ここ10年間の傾向がどこまで有効なのか。つぎの見どころは10月11月となりそうです。
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